これまで、栃木県の精神科救急情報センターは、夜間・休日中、県立岡本台病院急性期
病棟内に設置され岡本台病院のスタッフが管理運営してきました。
 この精神科救急情報センターの管理が、平成25年4月から栃木県精神保健福祉センター
に移管されました。新たな救急情報センターの電話相談業務は2つに分けられています。一
つは警察の24条通報や救急隊の問い合わせに対応し、措置診察や精神科入院の必要性を判
断する「振り分け電話」で、もう一つは精神科受診に関する「相談電話」です。この「相談
電話」は、相談者状態像を把握し、精神科受診の必要性を判断し、その時間帯に受信可能な
施設を紹介する窓口となります。このため、匿名相談を原則とする「いのちの電話」とは異
なり、相談者の年齢、性別、住所、既往歴等を確認することが必要です。
 4月?9月の集計では、電話利用者全体が467件あり、このうち「相談電話」は286件。これは電話
利用者全体の約6割に当たります。
 もう一つ、前年度と異なる点は、平成25年4月29日から、県内16施設の精神科病院が
輪番体制を組んで、この事業に対する協力を開始していただけたことです。平日の夜間と休日
に昼間に分けられた時間帯ごとに、それぞれの病院に実情に合わせ、外来のみ、外来と医療
保護入院も可能など、5つのパターンで、受信待機をしていただけるようになっています。
相談者の所在地に関わらず、なるべく輪番病院に振り分けるのを原則としていますが、ここ
上半期の集計では、輪番病院へ振り分けた事例は約23%で、まだ少ない状況です。今後は、
輪番病院への受信振り分けを増やすことは課題になっています。
 この
情報センターの運営は、夜間、休日の勤務に当たる多くのスタッフの献身的な努力に
よって支えられています。同時に、現場の対応の実情からは、相談者に関わる、ご家族、主
治医の先生方を始め、警察、消防、行政の関係者など、多くの職種が連携することの大切さ
があらためて実感されます。
 今後、一般県民の皆様の、ご理解が得られるように啓発普及に努めたいと思います。栃木
いのちの電話たより「絆」の巻頭をお借りして、今回のような事業内容の紹介をすることは、
本来の「たより」の趣旨から大きく外れているのではないかと危惧し、書くのをためらって
おりました。しかし、ふり返ってみると、精神科救急情報センターの運営は、まさに、関係
各機関の担当者同士の「絆」なしには成り立たないものでわることを実感いたしました。今
回、この「救急情報センター」について、少しでも理解が深まることを願って書かせていた
だきました。巻頭では、このよな報告をさせていただけたことについて、「栃木いのちの電
話」大橋事務局長をはじめ、スタッフの皆様方のご理解に感謝申しあげます。