先日、著書やテレビ出演、三色ボールペンで有名な、明治大学教授の齋藤孝先生の講話を
きく機会に恵まれました。講話の内容もおもしろかったのですが、余談で話していたことが
大変印象に残りました。「男性は、40歳を過ぎると、黙って普通にしていると、他の人から
は不機嫌そうに見られます。45際になると、とりわけ上機嫌にしていないと不機嫌に見えて
しまいます。意味もなく上機嫌に、自分に何があろうが上機嫌にしたほうがいいです。不
機嫌な人は人気もないし、不機嫌な上司ほどやっかいなものはないです。人とかかわる場合
は、笑顔を意識してとりわけ上機嫌な顔を・・・」とのことでした。「人前に出る時には、
鏡を見て口元をきゅっとあげる練習をしてから出るようにしましょう。私も実践しています」
と実演を交えて話してくださりました。齋藤先生は確かにテレビに出ている時も常に笑顔で
いるし、今回の講話でも、口元をきゅっとあげて常時笑顔でした。もともとそういう表情の
先生なのかと思っていましたが、実は意識し、習慣化しているとのことで、素敵な笑顔の秘
密に、齋藤先生のプロ意識を強く感じました。そういえば、カウンセリング界の大御所たち
も皆、笑顔が魅力的です。いのちの電話では、相談の中で直接顔を合わせてのやり取りはあ
りませんが、電話のやり取りの中でこちら側の感情をコーラーに気付かれてしまうことがあ
ります。怒った表情をしていると怒った雰囲気を感じ取られてしまいます。ちょっとしたこ
とですが、日頃から鏡で顔の上機嫌さを意識して実践することで、さらに相手との関係がよ
くなるのではないかと思います。
我々、相談にかかわる者は、何らかの悩み等を抱えたクライエントに寄り添いつつ、様々な手法を
用いて、問題解決に向かいます。我々いのちの電話でも養成研修が終了したあとも継続研修が義
務化されているように、相談にかかわる者は継続的に自己の研鑽に努め、勘を研ぎ澄ませて、力を
つけていくことが求められています。様々なクライエントに対応するために、齋藤先生が言う自分自
身のとりわけ上機嫌にということも大きな一助になると思います。
自分自身のことで恐縮ですが、私が相談の勉強をするようになって早や30年ぐらい、いのちの電
話とかかわるようになったのも、早いもので、足利で15年、栃木で7年ぐらいになります。栃木いのち
の電話の事務局長の大橋房子さんとの出会いと、2年前にお亡くなりになられた足利の前原功さん
との出会いがあったからで、いのちの電話には大変不思議な強い「絆」を感じております。参加する
たびに、姿勢が正され、自分自身の未熟さを痛感させられることもあります。しかし、今この時も、い
のちの電話で救われている人たちがたくさんいます。また、今後ますますいのちの電話の需要は大
きくなってくると思われます。お互いに健康にだけは気をつけて、いろいろな場面でとりわけ上機嫌さ
を意識しつつ、熟練した相談を目指して励んでいきましょう。