広報誌 栃木いのちの電話 第121号
広報誌 第121号 / シリーズ listen
聴くことの大切さ
栃木いのちの電話 運営委員長 夏葉 崇
令和5年6月に栃木いのちの電話運営委員長に就任して以来、「聴く」ことの大切さ、難しさを改めて意識することになりました。
振り返りますと、若き日の学生時代から、就職して今も続くサラリーマン人生の過程で、自分の中で「聞く」から「聴く」に意識していった時期がありました。 もともと「聞く」だけであった私は、学生のころの先生の話は一方的に耳に入ってくるといった感じで、社会人になると自分が部下として上司の話を一方的に聞く、 指示を聞くでしたし、取引先からも御用聞きのように話を聴くといった感じでした。
ところが、ある時点から「聞く」では上司、部下との社内的にも取引先にも通用しないと感じたのでした。そこで、いわゆる「聞く」から「聴く」に変わる必要性を感じたのです。 部下から相談を受けると、即答えを出さなきゃと、じっくり相手から話を聴くよりも、自分の考えを前面に出し、時には相手に対し、自分の考えを押し付けたり、否定的な話をしてしまうこともありました。 自分に欠けていたものは、相手に「共感」することと、相手を「理解」することでした。今でも途中で相手の話を遮って話をしてしまうことがありますが、極力、悩みや困ったことをじっくり聴き、 相手の気持ちを理解する努力をしたことを覚えています。また、聴くことの大切さは、相手を理解しようとする気持ちが相手に伝わり、相手から本当に話したいことをキャッチすることだと思いました。 加えて話すトーン、速さ、表情等も工夫しました。
また、ビジネスにおいてもこちらからの提案やセールスが多く、取引先のニーズや相談事を親身に引き出す努力が足りないと感じた時期がありました。 こちらからの一方的なお願いだけのセールスではお客様には受け入れていただけないことを痛感しました。当たり前ですが。 ビジネスにおいても相手に寄り添って話を聴くことが大切だと思い、努力しました。
これまで述べてきましたことは、自分自身の心の状態にも左右されている感じも受けます。 心にゆとりがあり、平常心であるときとそうでない時は応対に差があったと思います。 人に寄り添って話を聴くためには、自分自身の心が安定した状態で、余裕があることも大切だと思います。 この任務についている立場から今後、「聴く」大切さをさらに意識し持ち続けていきたいと考えます。